THE STORY OF NANASAI'S MANNEQUINS

  七彩マネキン物語

 

   第29話:人と自然に優しいエコマネキン・ボディ開発。    

 1950年代の終わり、それまで紙が主素材だったマネキンが、FRP(強化プラスチック)に移行したことは、第4話で簡単に触れましたが、以来、マネキンの素材はFRPが全世界共通となりました。FRPは強い、軽い、成型性がよい、修復可能、塗装が容易、ローコストの型で成型できる等、マネキンにとってはこれほど理にかなった素材はありませんでした。七彩はマネキンのFRP化と量産型の制作に先駆的な役割を果たしました。

 しかし時代が進むにつれて、補強材に使用しているガラス繊維が、廃棄の際、自然界に分解しないことが問題となり、環境問題がクローズアップされるにしたがって、人と自然に優しい素材をマネキンやボディに求める声が高まってきました。七彩が自社製品にエコ素材を導入することを意識したのは、1980年代後半でしたが、その段階では、決定的な素材や製法は見当たりませんでした。しかし、可能なところから取り組むべきと考え、クリエーターとのコラボレーションではエコ素材を意識的に採り入れました。例えば、1987年、ニューヨークFITで開催された“Three Woman”展における川久保玲の空間のための紙製マネキンは、ファイバー時代の製法に基づくものであり、明確にエコロジーを意識したマネキンでした。さらには1993年、国立国際博物館で開催された「現代のジャワ更紗展」のマネキンは、全身木彫で作られました。

 話は少しそれますが、 エコロジーの考え方は、空間表現にも積極的に取り入れました。24話で紹介した、1993年に七彩が主催したイベント「わたくしたちはものをつくる集団です」の空間に木製のレンタルによるパレットを使用しました。廃材を一切作らない空間表現がコンセプトでした。

  1990年代後半になると、マネキンのエコロジー化は、決定的となりました。七彩では、エコロジー化を図る際の条件として、次の4つの視点を重視しました。@ 成型性、耐候性、対薬品性、対衝撃性、軽量性等、現行の素材の特性を踏まえた品質が保持されること。 A 長年培ってきた手仕事による技術を継承すること。 B コストを現行程度に維持すること。 C すべての問題の解決を待つのではなく、実行可能なことから積極的に推進すること。

 2000年1月、(株)クラレが開発したリサイクル可能な補強繊維、ビニロンファイバー使用よる新たなFRP製マネキンの試作に着手。上記の条件もクリアし開発に成功しました。2001年以降生産している七彩オリジナルマネキンは、すべてエコ対応マネキンとして市場に送り出しています。

 2000年4月、文化服装学院と生分解性樹脂「デクラノボン」による裁断用ボディの共同開発。2001年7月、島津製作所と生分解性樹脂「ラクティ」によるディスプレイボディの共同開発。「イッセイ・ミヤケ プリーツ・プリーズ」の全身PET−G樹脂マネキンや「ヨージ・ヤマモト」の紙製ボディの共同開発等、エコロジー化を積極的に推し進めてまいりました。

 21世紀のマネキン・ボディは、見た目の美しさにとどまらず、空間に存在している時も、廃棄される時も、人と自然に優しくなければなりません。人と同じようにマネキン・ボディもまた“体内環境の浄化”が今日的なテーマなのです。

つづく

 

 リサイクル可能なFRP製マネキン
 生分解性樹脂「デクラノボン」製新文化裁断用ボディ
 エコ素材製ディスプレイボディ

                                          

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