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「モノづくり京都スタイル アート⇔マネキン」(協力)レポート

2003年07月27日

開催期間:2003年7月3日~7月27日
会場:京都芸術センター/ギャラリー北・南
主催:京都芸術センター

■本展を見て

アートディレクターの大野木啓人氏は、リーフレットで本展開催の趣旨をつぎのように述べています。「京都はその多様性、歴史性、文化性、技術性、地域特性等において総合的に世界一のものづくりのまちである。今回はその興味ある地場産業のひとつマネキン人形にスポットを当てる。技術そのもののアート性もさることながら、その技術や素材に注目したアーティストにも登場願い、京都のものづくりの深さと広さを感じながら、今後の京都の「モノづくり」の可能性を探るものである」・・・・・。その趣旨の通り、アートと産業を融合させた京都の「モノづくり」の奥深さを見る人に感じさせた展覧会でした。

会場は南と北の二つのギャラリーに分けられました。南のギャラリーでは、「マネキンのルーツ~現代のマネキン」をテーマに、マネキンのパイオニア企業島津マネキンと、その流れを色濃く継承した七彩工芸(現七彩)の保存資料を中心に構成されました。1950年代の楮製紙製マネキンから、ジャン・ピエール・ダルナ作のFRP製第1号マネキン、1960年代のヒットマネキン、70年代の超リアルマネキン、2003年のリアルマネキンに至る今日までの流れ、さらには18世紀の時代衣裳展示用マネキン、1993年の「ジャワ更紗展」の木製マネキン、1996年発表の20代日本女性の平均的人体ダミー等、多彩なマネキンの変遷が一望出来る展示内容でした。

また2000年発表のインタラクティブロボット「むー」は、京都のATRと七彩の共同で、マネキンにおけるアート感覚、身体の拡張イメージ、人とのインタラクションをロボットデザインに生かす試みとして制作されたものです。その他、アートと七彩の企業活動を融合させた例として、多彩な作家達による中元、歳暮、展示会の記念品や、1959年に主催した「火の芸術の会」に出展された木内克氏と三雲祥之助氏の作品が展示されました。特別展示として、七彩がコレクションしている1930年代のピエール・イマン作のパリの蝋製マネキン、さらには島津製作所標本部の流れを継承し、1948年に創立した京都科学標本(現京都科学)から1948年製の楮製紙製人体解剖模型が出展され、マネキンのルーツを知る極めて貴重な資料として注目を集めました。

もう一つの北のギャラリーでは、「アートの中のマネキン」がテーマでした。マネキンは時代ごとに理想的なカタチを表現してきました。しかしそれらは、それぞれの時代に生きる人々の内面を反映しています。七彩からは、1986年作のスチールメッシュ製イッセイミヤケ「ハート展」のマネキン、1988年作のスチールワイヤー製イッセイミヤケ「あうん展」のマネキン、FRP・スチールワイヤー製「ケンゾー展」のマネキンを出展。一方アーチストの関本徹生氏は七彩の破棄マネキンをオブジェ化した「アートマネキン」を、エトリケンジ氏はスチールネット製の透明感と浮遊感のある若い女性の身体をイメージさせる作品を発表しました。

歴史的資料としてのマネキンを目の当たりしたことにより、それぞれのマネキンの強い存在感が、如実にその時代の空気を漂わせている事に気づかされました。また、ギャラリー北の、関本氏とエトリ氏の作品からは、よりアートな感覚で捉えた表現の中に、空間への融合が感じられ、存在感を強く印象づけました。京都の地場産業となったマネキンの流れをひも解く中で、アートと産業がどの様に融合してきたか、21世紀の「モノづくり」のあり方を示唆する意味深い展覧会でした。

レポート:七彩 京都クリエイティブ プランニングチーム


ギャラリー南/後方:歴史的資料マネキン
手前:1930年代のパリの蝋製マネキン


ギャラリー南/右:インタラクティブロボット「むー」(2000年)
中央2点:「火の芸術」展出品作品(1959年)
左:「生活工芸品・記念品」(1955~1971年)


ギャラリー北/中央:関本徹生氏 「アートマネキン」(2003年)


ギャラリー北/エトリケンジ氏 「
vanishing figure」(2000~03年)


ギャラリー南/右:イッセイミヤケ 「ハート」展のマネキン(1986年
中央:イッセイミヤケ「あうん」展のマネキン(1988年)
左:「KENZO」展のマネキン(1989年)